仙台高等裁判所 昭和30年(う)136号 判決
原判決は本件有価証券偽造、同行使、詐欺未遂及び外国人登録法違反被告事件につき昭和三十年三月十日被告人を懲役一年二月に処し未決勾留日数中五十日を右本刑に算入する旨の判決を言渡している。ところで、記録に徴すれば、被告人は昭和二十九年十一月二十九日本件有価証券偽造行使、詐欺未遂及び外国人登録法違反の罪で勾留されてから昭和三十年二月十日原判決宣告の日まで引続き勾留されていたものであるところ、その途中において先に(昭和二十八年六月十三日)確定した別件建造物侵入罪の判決の刑(懲役一年)の執行を昭和二十九年十二月四日から引続き受けて受刑中であることが明かである。されば、昭和二十九年十二月四日以降は勾留状の執行と確定刑の執行とが競合して行われていたもので、いわゆる重複拘禁を受けていたものであり、勾留状の執行のみによる身柄拘禁に昭和二十九年十一月二十九日から同年十二月三日までの五日間に過ぎない。もとより重複拘禁はなし得るけれども、確定刑執行中の期間の未決勾留日数を当該事件につき判決をするに当り本刑に算入することは、刑法第二十一条の未決勾留日数を本刑に算入する立法趣旨に鑑みれば、これを許さないものというべきである。従つて、前記確定刑執行中の期間の未決勾留日数をも本刑に算入した原判決は、刑法第二十一条の解釈適用を誤つたもので、その違法が判決に影響を及ぼすことが明かであるから、原判決は破棄を免れない。諭旨は理由がある。
(裁判長裁判官 鈴木禎次郎 裁判官 蓮見重治 裁判官 細野幸雄)